そのバンドを見たとき、まるで雨が上がってすぐに日が射したような、朝陽が昇ってくる瞬間のような――周りが一気に輝き出したのだった。
 うまくはなかった。でもそれでも、こころが震えてこの曲が歌いたい、あの人の真似ではなくてオレの声で、そう思った。

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