鍵盤の上を歩くように心踊る音が聴こえる。澄み渡って遠い空の色に、ほこほこと白い息がフィルターをかけたように薄く漂う。もう、なんでもかんでも音楽にできそうな、そんな楽しさがあった。
 霜を踏めば音が鳴る。風が通れば声が聴こえる。澄んだ空はもうそれだけでほら――音楽になりたくてうずうずしてる。
 この音がこぼれないうちに書き留めておかなきゃ、なんて思えば、自然と笑顔がこぼれた。

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