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やわらかく吹き抜ける風は、それでもまだしんと冷たいにおいを纏っていた。ぐるぐるとまわる思考は終わりが見えない。
ゆっくりと慎重に歩いてきたはずなのに、ことごとく何もかもを台無しにするのは、愛しく思っている者だからこそ。なんとも思っていなければ、これまで通りにゆっくりかつ慎重でいられたはずだ。
「――!」
ふと呼ばれる声に顔を上げれば、やはり心乱す笑顔が見える。
どうあがいても抜け出せない迷宮は、いやになると同時に幸せを振りまいていた。
迷い込んだのは、
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