君に宛てたのは、誰も知らない僕だけの気持ちだ。心の中に燻るいろんな気持ちを、一つ一つ言葉にしてゆく。言葉にならない気持ちは、色や形で表現した。
 とても分厚くなってしまった便箋だけれど、それでも折って封筒に入れる。封は、しっかりとした。裏に僕、表に君へ、とだけ書いた封筒は、ふんわりと色を失う。すべてが、封の中におさまった証だ。
 この手紙は、きっと出せないし出さない。鍵のかかった抽斗にしまい込んで、ゆっくりと時間を経る。そうしてきっと、僕がいなくなったあとにここから出されて、封を破られてしまうのだろう。
 僕から君に宛てた『ひみつのてがみ』は、ひっそりと数を増やす。僕がいなくなる、その時まで、きっと、ずっと。


ひみつのてがみ