世界を滅ぼしてやる、そう思った。めちゃくちゃにしてやろう、ぐちゃぐちゃにしてやろう、そう思った。力が欲しいか、と聞かれていたら、一瞬も迷わずに頷いただろう。それくらいに、苛立っていた。
 でも僕には力がない。そこにあった紙屑をくしゃくしゃにして叩きつけて踏みつけて踏みにじって地団駄を踏んで、それでもおさまらなくて声をあげて泣いた。片手に持っていた宝物でさえも床に叩きつけていたようだった。フーフーと呼吸を大きくしながら、宝物を拾い上げた。特に傷は出来ていないようだ。
 僕には力がない。だから、世界を滅ぼしてやるなんて思ったところで実現できない。それでも滅ぼしたかったのに。
 世界は僕に感謝すべきだ。だって、僕が力を持っていないせいで世界は滅ぼされていないのだから。僕が魔王だったら、こんな世界、滅ぼされていた。何度も、何度も。だから、世界は僕に感謝すべきなんだ。


魔王