青い鳥が羽ばたいて消えた。たしかに、ここに在ったはずなのに、鳥籠の中は空っぽになってしまった。
 せっかくさんかくの鳥籠、かずに見つけてもらったのになぁ、なんてこぼれても、それを聞いている人なんか、誰もいない。ねこさんがよく訪ねてくるから怖かったのかな? なんて。
 仲良くしてると思ったのに。ねこさんも、食べたいと思っているわけじゃなくて、ちゃんとともだちとして会いに来てたのに。
 ……やっぱり、異種族だとうまくやれないのかな。
 そう思うと、きゅっと胸が締め付けられるように痛む。オレも、うまくやれないもの──みんなと違うから。
 たしかに、寮のみんなは変だといいながらも疎外はしなかった。でも、やっぱり異質だったのだ。
 やわらかく線を引かれたのかもしれない。初めてともだちだっていってくれたかずだって──。
 そういえば、いつだったかありすが教えてくれた、青い鳥のおはなし。オレにとってはさんかくが青い鳥だ! って思ったけど、さんかくよりも大事なものがあったみたい。
 さんかくがいーっぱいある部屋にいるのに、幸せなはずなのに、こころはぽっかりと穴が空いたみたいにすーすーと冷たい風が通り抜けていく。窓から見上げた空は相変わらずキレイに透き通っていて、つきんと軋んだ。
 一瞬、目の端にきらりと光ったような気がして腕をあげる。それでも、手を伸ばしても空を掴むだけだった。

大切なものはなくしてから気づく、って本当なんだね