「おにーさん、どなた〜?」
 そう声をかけたところから、オレたちははじまった。いつものように『トモダチ』だと言ったら、きょとんとしたあとにひどく嬉しそうな顔をしたのをよく覚えている。その顔に驚くと同時に、この人なら本当に『友達』になれるんじゃないか、なんて思ったのだ。
 その直感も間違いじゃなくて、いまやオレたちは三好と三角でタメ年Wスリーペアとして一番仲が良いと言っても過言ではないほどの仲良しっぷりを発揮している。オレたちは二人とも、少しだけ人が怖くて、その反面、とても人が好きだった。むやみに踏み込むことはないけれど、落ち込んでいたり元気がなかったりしたら、そっとそばにいてやわらかい空気で包み込む懐の広さがあるのだ。……自分のことを含めると自画自賛になっちゃうけど。
 たぶんオレたちは、とてもよく似ているのに全く違った存在で、だからこそお互いに補い合うことができているんだと思う。心の闇と向き合うことは難しくても、その闇をなかったことにしないで存在を認めることができる、そんな関係だ。
 出逢えたことを奇跡とは呼ばないで、運命と呼びたい、なんて夢の見過ぎだろうか。それでもオレは、オレたちは、この出逢いを、この関係を築けたことを、運命だと思っている。……きっとたぶん、それだけでいいんだ。

奇跡ではなく、運命と呼びたい