ゆるりと意識が浮上して、自分の意識が落ちていたことに気が付く。あちゃー、と思わず声がもれて、余計な絵の具がキャンバスに乗っていないかをざっと確認した。……どうやら、問題ないようだ。
 そこで、ふと自分に掛かっていた毛布に気が付く。誰が掛けてくれたんだろう、と手繰り寄せて、その柄がサンカクで埋まっていることで一人しか思い浮かばなかった。きょろり、と周りを見渡せば、オレに掛けられていた毛布の色違いの毛布に包まったすみーが隅にまるまっているのが見えた。
 邪魔をしないようにそっと入ってきて、起こしもせずにそっと毛布を掛けてくれる。それで、自分も邪魔にならないところでまるまって、一緒に睡眠をとってくれている。これは、きっと甘やかされているんだろうな、なんて思うのはちょっと浮かれているのかもしれない。
 でも、オレたちは長男同士だし、夏組の中でも年長さんだし、そう思うと甘やかすことは難しくなくても、甘えることが難しいんだ。甘えるって、どうすればいいのかな? なんて二人で首をひねったのを思い出す。声を出さないように小さく笑って、すみーにくっついて丸くなって二つの毛布を背中と前とにまわして、二人で入れるように掛けた。
 きっと、こうやって寄り添って眠るのだって、甘えるうちに入るんじゃないかな、って思えるのは、きっとオレたちが恋人同士じゃなかったらそのまま、寄り添えなかっただろうから。あんがと、とつぶやいて額に唇を落としてから目を瞑った。

甘えるってどうすればいい?

 そのとき、すみーの頬が緩んだのは、オレには見えなかった。