「かーずー、ねえ、まーだー?」
「ちょ、待って、まだムリ……!」
 くもんはじゅーざのところにいっていて、くもんのいない203号室にかずとふたりきり。目をつむって、かずがちゅーしてくれるのを待つ。
 顔を真っ赤にして、してもいい? なんてきくかずに、すぐに頷いた。ほっぺたをすりあわせたり、くっついたり、手を繋いだり、そういう接触はたくさんしてきたけど、お口とお口のちゅーはまだだった。
 だってかず、すっごくはずかしがり屋さんなんだもん。そんなかずもかわいいんだけどね。
 わくわく、はやくはやく、そんな声にならない声が出ているかのように目をつむって待っていたけれど、かずはなかなかしてくれない。むむっ、オレ、そろそろ待てないよ。
 ちゅっ、とやわらかく音をたてて離れた唇を舐めながら目を開くと、かずが口を戦慄かせていた。えへへ、そんなかずもかわいいなあ、なんて。
「すみー……っ! オレからするって言ったじゃん!?」
「ごめんなさーい! でも、もう待てなかったんだもん」
 えへへ、と笑いながら謝れば、しょうがないなぁ、って顔をして許してくれる。でもかず、お耳が真っ赤になってるの、隠せてないよ? かわいいけど!

もう待てない!