「かず、前におてがみで言ってたよね。『オレはすみーみたいに、お月さまにはなれない』って。でも、ほら、みて!」
 両腕を広げたすみーは、星の海を背負って、まるで輪郭が光っているかのように輝いていた。キラキラ、月のない夜のはずなのに、光輝くのは、星だけ。
「お月さまが出てないのに、お月さまが出てるみたいにすっごく明るい夜のこと、『星月夜』って言うんだって。ねえ、まるでかずみたいでしょ?」
 えっへん、とばかりに言うすみーに、鼻の奥がツンと痛んだ。
「かずの絵も、演技も、デザインも、かずの存在そのものも。オレのだーいすきなお星さまみたいに、きらきらしてるんだよ!」
 ついに我慢しきれなかった涙をそのままこぼしながら、勢いよく抱きついた。それを予期していたかのようにすみーは難なく受け止めて、「かずは、すっごくきらきらしてるよ」なんて囁くように言ってくれて。もう、我慢なんかできなかった。
「すみー、オレ、すみーのこと、すき……っ!」
 ぎゅっと、力を入れた体をなだめるように撫ぜるすみーが、少しだけ笑いながら抱き締め返す。
「しってるよ。……オレも、かずのこと、だいすき。……オレの、家族になってください」
 ぼろぼろと、尽きることなく溢れてくる涙は、びっくりするほど熱くて、それでも幸せだった。「はい」とこたえた声は震えてうまく出なかったけれど、それでもすみーには伝わったようで、これまでで一番の笑顔を見せてくれたのだから、問題ないのだろう。

星月夜

 嗚呼、オレとすみーは、家族になります。