いつの間にかずいぶんと冷たくなっていた空気がそっと前髪を撫ぜていく。ふわりと広がる前髪の向こう側に、からりと晴れた青空が広がっていて、しみじみといい天気だなぁ、と思った。
 ねこさんが膝の上でまるくなって、ぽかぽかとあたたかい。待って待って、待ち焦がれた時間はすぐそこのはずだったのに、公園に見える時計の針は一向に進まなくて、あーあ、とかすかな声がこぼれた。
 ぐい、と両手を上へ伸ばして、後ろへ反り返ると、ふっと目の前に影が差した。逆さの顔は、待ち焦がれた待ち人のそれで、思わず破顔した。
 おまたせ、という声に、うん、なんて笑う自分からは、あれだけ待った時間が感じられないほどうれしさを前面に出していて、笑われてしまった。いいんだ、結局のところ、待ち合わせに少し早く来てくれたのだから。
 ふたりであるいている間に日は傾いて、影が仲良く伸びていった。そんな影が触れ合っているかのように寄り添っているのを、後ろを向いて確認して笑う。だって、すごくすごく仲が良さそうだったから。
 だいすきだった。待つのを焦れるほどには。
 でもそれも今日で終わりだ。だって──今から、オレたちはともだちじゃなくなるのだから。
 伝わらないだいすきじゃない、この大きさを伝えてもいい、だいすきになったんだ。

待ち焦がれて、待ち焦がれて

 さっきまでもだいすきだったけど、今の方が、明日の方が、もっともーっと、だいすきだよ!