ゆらゆらがたがた、揺れる電車に意識も揺さぶられる。座った座席の後ろの大きな窓からは、あたたかな夕陽が背中を照らしていた。
 今日一日をしっかりと遊び倒して、腰を下ろしただけで眠りそうだったのに、夕陽の援護射撃でオレの瞼は陥落寸前。乗り過ごしたらあぶない、とスマートフォンを操作して眠気をやり過ごしていた。
「かず、着いたら起こしてあげるから」
 寝ていいよ、隣に座ったすみーが囁くように笑うから、ありがとうとちゃんと言えたかもわからないうちに意識はあっという間に落ちた。手に持っていたスマートフォンをそっと抜き取られて、鞄の中に入れられたのにも気が付かないほど寝転けていたのは、なかなかに恥ずかしい。
「かず、着いたよ」
 ゆるりと肩を揺すられて、覚醒すると「よく寝てたね」なんてすみーが笑うから、オレも笑うしかなかった。

着いたら、起こしてあげる