部屋の中にあふれたさんかくが、とたんに色褪せたように感じたわけではない。さくかくはいつだってさんかくだし、きらきらしている。
それでも、さんかくは『たからものだった』。
「すみー? どしたん?」
かずが部屋にいると、どうしても『いちばん』はかずになっちゃうから。さんかくが二の次になるなんて、これまで想像したこともなかったのに、今ではかずをしまっておきたくて仕方がない。
「んーん、かずをお部屋にしまっちゃいたいな〜って思って」
「なにそれヤバたん〜! ちゃんと毎日遊びに来るよん」
たまに泊まりにも、なんて笑いながらウインクしてくれるかず。だけど、かずを隠しちゃいたいみたいな気持ちになっちゃうんだもん。
笑って「ぜったいだよー?」なんて念押しして、こころのなかだけで『なるべくひとりじめできますように』なんてお願いしてみたりして。
たからもの、だったもの
さんかくとかずでみたされたお部屋で、生きたいなあ。