大学からの帰り道、バイト先が大学の近場だったというすみーがたまにやってきては一緒に帰っていた。ちゃんと道を歩いてくることもあれば、塀の上を歩いてくることもあったり、はたまた近くの大きな木の上からこちらを覗いていることもある。すみーの今日の予定がバイトのときは、今日はいったいどこからくるんだろう、と楽しみにしてしまうのは小さな秘密だ。
「かず、学校お疲れさまー!」
「すみーも、バイトお疲れ〜!」
 今日のすみーは塀の上の気分だったみたい。塀の上にちょこん、と座って少し首を傾げながら八重歯を見せて笑う、そんなすみーのかわいさは筆舌に尽くしがたくて、カッコイイ役を演っているときとのギャップがマジやばたん。いや、アレはみんなやられるでしょ。男だってきゅんきゅんするんだからさ。
 すみーは塀の上からぴょこんと軽〜く飛び降りて、オレの隣に並ぶ。靱やかで軽やかで、まるで猫のようだった。

帰り道、君と肩を並べて

 肩を並べて帰る道は、普段通りのはずなのに、どうしてかいつだって前日よりも色鮮やかに、オレの瞳に映り込む。常に鮮やかさを更新し続ける帰り道は、ただひたすらにじわじわと幸せで日常を侵食していくのだった。