ゆるゆると浅縹色が伏せられて、花葉と纁の混ざった瞳が隠れてしまう。また、言いよどんだ。かれこれ何回目なのかなんて、両の指をこえたころから数えるのをやめてしまったのでわからない。
 言えない、のか、言いたくないのか。そんなの、前者だって最初からわかってる。だって、一瞬しか見えない花葉と纁が、それを訴えているから。
 だから、オレはにこりと笑っていってあげるのだ。
「『さみしかった』でしょ?」
 そんなことない、と言いたいのを人差し指一つでふさいで、言って、と目で訴える。それでも、うん、という一言までしか引き出せないでいた。
 そっと抱き寄せた身体と震える指先、すり寄る肌と髪が、さみしかったと言っていて。

(たったその一言、なのにな)

 頑なに言葉にしないすみーが、やっぱりひどくいとおしかった。