からからと吹いてくる風にぶるりと身を震わせる。乾燥した空気は刺さるかのように頬を撫ぜていくが、心地よさを感じることができずに思わず首をすくめた。ふわりと巻かれているマフラーが温かく、鼻まで覆うように潜る。そうして視線だけあげた先には、寒さなど全く意に介さない人物がいて、思わずもう一度ぶるりと身を震わせた。
「かず、寒そう〜」
「うん、寒い。ってか、すみーよくそんなんで平気だね⁉ 寒くない?」
 きょと、と首を傾げた後、満面の笑みで「ふつう!」と答えたすみーは、きっとオレの倍以上動いているからあったかいんだ、と思い込むことにした。そうじゃなきゃ、どう考えてもおかしい。
 あったかさのおすそわけ、とぎゅうと抱き着いてくるすみーの体温が本当に温かくて、思わずほお、っとため息がでる。こんなに温かければ確かに寒くはないのかもしれない。
「わー、かずのほっぺた冷たい!」
「すみーはあったかいね〜」
 頬をくっつけて笑いあっている様は、まるで幼い子供のようだ。それでも、分けてもらったぬくもりがじわりじわりと浸透して、ぽかぽかと動けるようになったことに感謝する。
「よっし、あんがと、すみー! だいぶあったかくなったからこれで動けるよん」
「よかったー。それじゃ、いこっ!」
 ぐいぐいとオレの手を引っ張るすみーの手は、やっぱりオレの手よりも随分と温かくて、またぬくもりを分けてもらっているようだった。

体温を分け合う