くっきりと伸びていく影に、夏が近付いていることを知らされる。いつの間にか雨間に差す陽は強さを増して、じりじりと焦がすようにその時間を延ばしていた。
 夏は、オレたちの季節だ。
 なんだかんだと『普通』の学生をしてこなかった彼らの分を含めて、みんなで思い出を作っていくのが楽しい。オレも、『友達』と思い出を作るのは、ひどく幸せなことだと感じていた。
 雨と晴れの日数が逆転してきていよいよ夏本番、となる頃、じめじめとした夜に花火をした。中庭で弾けるさまざまな色の火花を映す瞳は、どれもたいそう美しかった。
 ふ、と花火の光を遮られて視線をあげると、やわい陽光のような瞳がこちらを見つめてにこにこと微笑んでいた。一緒に線香花火をすると、パチパチと弾ける音が騒ぐ音にもかきけされずに響くことを知る。
「あ、」
 ぽとり、と線香花火は同時に落ちて、それと同時に瞳が合った。じ、と見つめること三秒、やはり同じタイミングで笑いだして、もう一度、線香花火に火をつけた。
 そんな、

夏になる、前の日。