甘い香りにつられてふらふらと寄ってくるのが、まるで蝶のようだった。からからと音を立てる風に煽られて、その歩みは一定ではなかったが、それすらも蝶であるように見せるための手段のひとつに見える。薄藤色の髪がふわりと浮いて、髪の一本一本までもが意思を持ったように完璧な角度で光を反射して輝いた。
 客席から見る友人は、同じ板の上で演技をしているのとは全く異なって見える。客席ではオレと同じようにゴクリ、と息を飲んで手に汗握るようにしている人が散見され、普段の夏組の内容だけでは表現しきれない彼の魅力が存分に発揮されていた。
 ──悔しいと、思った。この魅力を引き出すのが、仲間であるオレたち夏組ではなくて、ぱっと入っていった客演だというのが、ひどく。

魅力的に映る