新しい公演グッズとして、パンフレット以外に公演衣装を着たブロマイドが出た。おみみの写真の腕があってこそなんだけど、これがまた結構売れた。まあ、パンフレットに載ってるのはポスターそのものと、話のあらすじ、それに各キャストのコメントのみというさっぱりさ加減。主演・準主演以外のキャストの公演衣装を手元に残せるとなると、やっぱり購買意欲が高まるのだろう。フルーチェさんから、次回以降のパンフレットにもオフショットを載せて値段をあげる旨を仰せつかったので、きっとまた予算増やしのためなんだろう。
 で、せっかくだからと、旗揚げ公演の再演から、ブロマイドを追加しようということになって、結局これまで演った公演すべての衣装に着替えているところだ。再演を含めて久しぶりな衣装もあれば、つい先日まで袖を通していた衣装もある。久しぶりともなると、キャラクタをつかみなおすのにも少しだけ時間がかかったりして、結局台本まで引っ張り出してきた。アラジンからクロはまだいいとしても、クロからポールになるのはなかなか骨が折れる。そこから榎本でキイチだ、緩急激しすぎない? って思うのはきっと見ている人も同じだと思う。
 主演・準主演のツーショットや、内容で絡みがあったキャラクタ同士のツーショットなども撮っていくことになって、なかなかな枚数になっている。これ、選別するのめっちゃ大変じゃね? みんなでやるんだろうけどさ。
 第三公演でポールとしては、スカイとヘンリーとのツーショットを撮ることになった。獰猛に笑うスカイとは剣を交えた写真を、不敵に笑うヘンリーには銃を突き付けている写真を撮る。ヘンリーには銃を突き付けているだけだからまだよかったのだが、スカイとは軽く殺陣をしながらの撮影になって、それはもう、びっくりするほど疲れた。第五公演でも殺陣しながら撮るから、と言われたときには気が遠くなるかと思った。
 スカイを演っているすみーと剣を構えて対峙すると、公演は随分と前のはずなのに、すっとポールになった気がする。オレを映す瞳が、『すみー』じゃなくて『スカイ』だからだろう。すみーの演技は、周りを巻き込む。ぐいぐいと引き上げられていく気がするし、実際実力以上のものがでてしまうこともある。まあだから殺陣でものすごく疲れたんだけど。
 おみみの、オッケーの声がかかって、ふっと自分に戻る瞬間、オレを映す瞳がどちらなのかわからなくなって、自分もどちらなのか一瞬わからなくなった。一瞬の瞬きで『すみー』に戻ったすみーは、おにぎりが食べたいとへらりと笑う。

瞬きに惑う

 自分に戻り切れていないのは、ただの気のせいなのかもしれなかった。