商店街とのコラボレーション企画で、劇団のポスターを作ることになった。前に作った魅惑の瞳と銘打たれた、瞳だけで構成された劇団宣伝ポスターが商店街のお偉いさんの目に留まったらしい。ありがたいことだ、今度はその唇から耳にかけたフェイスラインで統一したものがいいという要望までいただいた。
 鼻の下から耳の下まで、喉仏は入るか入らないか人による、ってくらいの位置でトリミングされた写真を、前回と同様にランダムに配置する。みんなフェイスラインちょーキレイ。こうしてみることってなかなかないから、すっげー不思議な気分。
 でも、前回の瞳と違って今回の写真には映り込むことはありえないから安心していた。配置をいくつかいじり直して、文字を入れて効果を付けて、最後に微調整をして終わり。紙に印刷して、出来上がりの感じを見ようと印刷をかけた。
 今回はみんな真顔というか、口角を上げないように一文字にして写真を撮ったからか、前回の瞳とはだいぶイメージが違ってくる。これはこれですごく硬派なポスターに仕上がったんじゃないか、と自分の仕事に満足した。
 案の定唇だけでもオレの視線を奪っていくのに苦笑するばかりで、自分の指が唇をそっと撫でていたことになんか気付かなかった。

色どりを放つ