月の下でほころぶ花弁のように、はっきりとほろりとじわりと、にじむように見せつけるようにほころんだ表情は、これまで見てきたどんな表情よりも『彼らしい』と思った。瞳の下のほくろがにじむように歪んで、それすらも表情に色を付けている。
それに相対するオレはといえば、ひきつるように笑うしかできなかった。だって、そんな笑顔見ちゃったら笑顔だってひきつるでしょ。ただでさえ見蕩れるようにほころんでいるのに、瞳はじっとりと熱を放ってこちらを焦がすのだ。
そっと伸ばした手は、力強く、でも柔らかく止められて、そして絡められた。
ほころんで、焦がした
もう、逃げられない。