襟足が風になびいて、ねこさんではないけれどそこにじゃれたくなったのはまったく嘘ではない。一つに括れそうなくらいに長くなった襟足はひらひらふわふわ、なんだかいい匂いまで運んでくるみたい。
「なにー? くすぐったいよ、すみー」
 くふふ、と笑いを含んだ声で答えたかずは、迷惑そうじゃないからいいかな、ってまたじゃれる。なんか、ねこさんの気分。でも、これはねこさんには譲ってあげられないなー。
「んー、ねこさんの気分ー」
「そっかー」
 ちょっとだけ振り返ったかずは目を細めて、やっぱり楽しそうに笑った。かずが楽しそうなら、いいや。オレ、すっごく楽しいもん。お日さまはぽかぽか、かずの襟足がひらひらふわふわ、

二人でひなたぼっこ。

 ほら、すっごくすっごくしあわせ!