「ダマレ」
 凶悪な顔で繰り出されるそれは、いっそ脅しか何かではないだろうかと笑えてくる。肩を軽くすくめて、そのままヘッドフォンに手をかけた。音楽プレイヤーをポケットから出し、操作する。
 その間、すべて無言。
 ダマレって言われたしね、だなんて少し大人げなかっただろうか。ヘッドフォンを装着し、再生ボタンに指をかけた瞬間にヘッドフォンを勢いよく奪われた。片眉を吊り上げ、なに? と視線だけで訴える。ダマレって言われたし。
「なんか言えよ!」
 ぷっと吹き出して、眉を吊り上げたまま笑った。
「ダマレって言われたから黙ってたのに、王様ってホント横暴〜」
「アア!?」
「あーもう黙ってウルサイ」
「ふっざけんな!」
 王様ってば黙ってることもできないんだね、だなんて僕の挑発はやっぱり胸倉をつかまれて消えて行った。

黙れっていう影山と月島