「君がいて、初めて呼吸ができる、気がする」
 そうつぶやいた月島の顔と声は、いつも通りふてぶてしいものだったのに、耳の先だけが赤くなっていて、なんなんだろう、と思った記憶がある。ああそうか、あのときの月島はもしかしたらこんな気持ちだったのかもしれない。
 あのときの月島は、あいらぶゆーを訳すなら、といっていた。
 つまり、愛してるということは俺がいてはじめて呼吸ができる、ってことだと。まだまだ子供だった俺は、俺がいないと月島が死ぬんじゃないかと焦ったものだ。
 ヒユだと、バかじゃないのと笑った月島に、いまなら答えられる。
「もう手遅れだ」
 俺なら、そう訳すと。

I love youを訳すなら

(お前のいない生活なんて考えられない)