久しぶりの外出だ。バレーの試合はやっていないし、体育館はどっかのだれかさんたちが壊した電灯の修理のために使えなくて、つまり影山が僕を断る手段がほとんどない、という今日を狙って誘ったわけであるが、市民体育館にいくだのなんだのと渋った。そんなにバレーが好きか、と思ったけれど、まぁ好きなんだろう。そうでなかったらこんなにバレーボールの神様に愛されるはずもない。
 それでもバレーに負ける自分が悔しくなる程度には、僕は影山という男を好いていた。だから比較的強引に連れ出した。スポーツ用品店でも、どこにでも、バレー関係でもかまわない、一緒に出掛けたいと、一緒の時間が、二人の時間が欲しいとそう言えるわけなんてなかったのだけれど。
 そうしてこぎ着けた久しぶりの外出だった。相変わらずの私服に微笑ましくなるけれど、そんなことおくびにも出さず、遅いと言い放つ。待ち合わせの二十分前からいた僕と、十分遅刻してきた影山。僕は三十分も待ったわけだ。相手が山口だったらたぶんそのまま帰っていたし、そもそも時間ピッタリにきただろう。
 珍しく悪かったとばつが悪そうに言うものだからうっかりと許してしまった。決して久しぶりの外出で浮かれていたわけではない、決して。
 僕はわりとゆっくり歩く方で、影山はさっさと歩いていく方だ。その差がひどくもどかしく感じる。コイビトと歩く時くらいゆっくりと"歩くこと"そのものを楽しめないの? なんて言えない僕も僕だけれど、もうちょっと察するとか空気を読むとかできないのだろうか、できないないからこうなのか、と軽くため息をついた。
「オイ、早くしろよ」
 そういって体を半分だけこちらへ向ける君には、情緒なんて理解できないんデショ。ハイハイ、と少しだけ笑って、その隣に並んだ。いつもよりも少しだけ早く進める足は、それでもいつもの影山の歩みよりはゆっくりとしていて、影山から見えない方の唇が少し持ち上がるのを感じた。

おでかけ