あいつの、透き通るような魂鎮めの唄を聞きながらどうしてこいつは御霊部じゃないのだろうかと考える。
考えても仕方ないのに。
どうして、御霊じゃなくてもこんなに魂が揺さぶられる歌声なのに、どうしてこんなに訴えるような声で歌えるのに、どうしてこいつはヤミブンになんか、どうして、どうして。
ぼくの鈴では、音だけで、音色だけで鎮められない。
そんな歌を持っているのに、どうして御霊のために使わないんだ。

あいつが妬ましくて、そんな自分が嫌で仕方ない。

(ないものねだりなのはわかってる)(でもそれでも、)