空元気、よりももっと痛々しい、ほどにぼうっとして、でも何を考えているわけでもないようなあいつに、追い打ちをかけるような、雨。
傘を持つことすら忘れたようにただ立ち尽くして、声をかけることすらためらわれるようで。
周りの人間たちだってあいつをいたわるように、独りにして。
だれかを見ているような、だれも見ていないような。すべてが内に向かっていくように、あいつはなにも語らない。
せめて晴れてくれたら、めいっぱい遊ばせるように連れ出したのに。
七夕に降る雨はきらいだ。

七夕に降る雨

(あいつが、どこか遠くをみて)(ぼくを見てくれない、ことが)(いやだ)