あいつの結婚式で、ぼくの人生最大の秘密を打ち明けた。
あいつとは、付き合いがあった後は適度な距離の友人関係を築いていただけだったが、まさか結婚式に呼ばれるとは思わなくて、ついいじわるのように言ってしまったのだ。
言っておくが、言うつもりはなかったのだ、誰にも。
ましてや、こいつには絶対に言わないでいるつもりだった。
「ぼくは、あのころおまえに、一度だけ嘘を吐いたんだ」
そこまではよかった、どうして小さく付け足してしまったのだろう、嫌いになったから別れよう、だなんて本当の言葉を。
きっと酒と雰囲気に酔っていたんだろう、そういうことにしておきたい。
その言葉を吐いた瞬間の、泣きそうな笑顔は、どういうことだったのか、聞いてみたい気もするが聞きたくない気もする。
こいつには、幸せになってもらいたくてあんな嘘を吐いたのだから。

一度だけ嘘を吐いた、嫌いになったから別れよう、と

(ぼくは若すぎたんだ)(自分が幸せにできると思っていたなんて)