腫れた右頬の痛々しさに、目をあわせられない。
なんでこいつはこんなに頬を腫らしてるんだ、そう思っても、苦々しく笑うこいつに聞くことなんかできやしなくて。
いつだってそうだ。
ぼくは、こいつの痛々しそうな、苦しそうな、弱い部分に触ることができない。
聞いてほしくなさそうな、そんな顔をされたら、どうしてだって聞けなくなる。
本当は、そんなのお構いなしに無理やりにだって聞き出して、怒るなり慰めるなりした方がいいのは、わかってるのに。
ぼくは、無理聞き出してこいつに嫌われるのがこわいんだ。
こいつの傷よりも、自分の保身ばかりが頭をよぎって、ぼくは本当にこいつが好きなのか、こいつをすきな自分が好きなのかわからなくなる。
そんな疑問を一度抱いてしまえば、もう、

手を伸ばすこともためらわれて。

(本当に好きなんだ)(嫌われてしまったら苦しくなるほどに)