逃走を楽しんでいたなんて、部長にはばれていたと思うけれど、自分は騙せていたんだ。
どんなに苦しくたって、怖かった(あいつらの前では絶対に認めてやらないが)って、楽しさがぼくを突き動かしていた。
今までに経験したことのない無計画さといい、楽天的思考といい、ぼくには到底経験することもないことだと思っていたから。
楽しかった。
それは認めざるを得ない。
でも、もう会えないって知ってる。
いや、会おうと思えば会えるのだろう、でもぼくは、会わない。
ヤミブンなんかとはもう絶対に仕事したくないし、それにぼくがぼくでなくなるような、あの感じはいやだ。だから、いい思い出としてとっておいてやろうと思う。
ぼくの、中学最後の思い出として。
有難く思え!

もう会えないって知ってる。

(なんて思っていたら)(まさかあいつに居候させたり一緒に仕事したりするなんて)(このときのぼくは、まったく知らない)