(言えないくらい、)
あの手が、ぼくの手以外をつかむのを阻止したい。
あの声が、ぼくの名前以外を呼ぶのを阻止したい。
あの瞳が、ぼくの姿以外を移すのを阻止したい。
あの存在が、ぼくだけで成り立っていてほしい。
「すきだよ」
その言葉にすべてを集約させて。
(あいしてる。言えないくらい、あいしてる)
本当はあの全部をぼくだけのものにしたいなんて、絶対に言えない。

(あいしてる。言えないくらい、あいしてる)

(おびえられでもしたら、)(ほんとうに実行してしまいそうだから)