「ちょ、やめ……っ」
顔から首筋にかけていくつも唇を落としていくと、目の前の唇から待ったがかけられる。
不満げに瞳に視線を向ければ、目の周りを真っ赤にしてうろたえたように泳いだ瞳がぼくの少し上で止まった。
どうしてぼくに視線を合わせてくれないんだろう、と思えども、全身から恥ずかしいという気が立ち上っている(ような気がする)。
「やめろ、よ、」
羞恥なのかなんなのか、瞳を濡らしてぼく(より少し上だけど)をみる彼女は、ひどく美しかった。
大事にしまってしまいたい気持ちも、逆に壊してしまいたい気も、どちらも同じくらい大きくなっていく。
嫌だとこわいといわれたら、やめよう。
でも……、
「はず、かしい、だろ、」
先ほどよりももっと目元を赤く染めて、ついと横にそらした瞳と、すこしとがった小さな唇に、ぼくの気持ちは傾いた。
「恥ずかしくても、」
額にそっと唇を落として、しっかりと瞳をあわせる。
ゆらめく瞳に、ぼくの前髪がきらりと光ったのが見えた。
「ごめん、好きすぎて無理」
その言葉とともに、拗ねたようにとがった唇にかみつくようなキスを贈る。

ごめん、好きすぎて無理

(ぼくの名前を呼ぶ彼女に、)(唇で、こたえる)