がらん、と扉についたベルが音を立てた。
自身についた大粒の水滴を軽くはらい、タオルを取り出して拭くと、用意がいいな、と苦笑するあいつに、拭き終わったタオルを放る。
道端で会話をしていたら、ひどい通り雨にあい、びしょびしょになった。
とりあえず目についた喫茶店にこいつを引きずって、雨宿り。
窓際の一番奥、仕切られたそこは、まるで個室のようで。
雨にあたって少し寒くなったのでぼくは温かいコーヒーを注文すると、こいつはこれだけ濡れたのにもかかわらずコーラを注文する。
あいかわらずだな、といえばだって飲みたかったし、と返された。
窓の外は、土砂降りの雨。
雨が止むまでは、ここで避難だな。
そう小さくこぼせばそうだなぁ、と困ったような笑顔。
その困ったような笑顔が癇に障る。
別にこいつは何とも思っていないのだろうけど、雨が止むまではふたりきりだ。

雨が止むまでは

(雨なんか止まなければいいのになんて)(乙女思考過ぎるだろうか)