友達の好きな人がね、と話し始めるが、その言葉通り赤くなったり青くなったり、どう考えてもこいつの"好きな人"の話だとぼくは確信した。
確信すると、なんだか面白くなくなる。
こいつがうれしそうに話したり、悲しそうにしたり、それが全部その"友達の好きな人"とやらがもたらしていると考えられるからだ。
なんなんだ、くそ。
ぼくの眉間のしわはどんどんと深くなっていって、そして。
どうしらいいかな、だなんて言葉で崩壊した。

友達の好きな人がね、

(お前の好きなやつの話だろう)(そういってぼくはぼくの伝票だけ持って逃げ帰った)(つらくなる、だけなのに)