付き合い始めてから、少しだけ約束事が増えた。
それは、仕事の話をできるだけしない、とか、連絡を入れる、だとか、そういう相手に分かるような簡単なことではなくて。
一日の始まりと、終わりに、必ず相手のことを考えることだ。
始まりには、もう起きたかな、遅刻しないかな、と思いながら自分の支度をすること。
終わりには、次にあったら今日のこのことを伝えよう、と思うこと。
そんなとくべつが、当たり前のようにいつのまにか自分の中に浸透していったことが、なんの違和感もなく進んでいったことが、どうにもこうにもしがたくて、うれしくて、くすぐったかった。

とくべつなこと

(今日はあいつ遅刻しないかな)(やばい遅刻っ……あいつはきっと遅刻なんてしないんだろうなぁ)