ぼうっと三日月を眺めながら歩いていたら、いつのまにか全く知らない道まで来ていた。
あぁ、ぼうっとしすぎたなぁ、どうしようかなぁ、とこれまたぼうっと月を眺めていると、こっちだよ、というかのように月が瞬いた。
月が瞬く?
星じゃあるまいし、と目を疑ったが、実際に瞬いたを見たのだ、この目で。
なんだか不思議な気分だったが、不思議な現象に慣れてきたなぁ、と自嘲しながら月と一緒に歩いた。
もう一度月が瞬くと、そこは公園で、中には人影が見える。
ふと人影と目があった気がして、公園の中に入れば、なんだってお前が、と出合い頭に言われてしまった。

三日月に誘拐されて

(笑って言えば、怪訝な顔をされる)(出会えたことに、ありがとう)