あ、あすかいだ。
そういった楠木につられて、周りを見回しても一向に姿が見えない。
鈴男?と聞き返しても、うん、ほらあそこ、と指差したほうを向いて、目を凝らして――見つけた。
美佳子ちゃんと、首をかしげながら、楠木さんって鈴男くんのことすぐわかりますよねぇ。と会話を交わす。
そうかなぁ、という楠木に、おれたち二人は揃ってうなずいた。

いちばんに君に気付く

(どうして分かりやすいのに気付かないの?)(そう聞かれたって、まったく分からないのだから仕方がない)