のんびりと歩く翼くんにあわせて歩く歩調は、少しだけはやめ。
翼くんは、のんびりあるいても一歩が大きくてうっかりすると置いていかれてしまう。
それでも少しだけ前に出た翼くんは後ろの私を振り返って笑い、早くとせかすのだ。
その笑顔はいつだって太陽のようにぽかぽかで、冬の冷たい風に吹かれたってへっちゃらだと思える。
少し走って追い付けば、翼くんは大きな手でぎゅっと手を握って、私を引っ張って歩く。
あたたかい手は、いつだって私を包んでくれて、あったかい。
今日は上を歩く雲と競争だと楽しそうに笑う翼くんに笑い返す私は、いつだって幸せだと感じられる。

冬の歩道