てのひらにのせた飴玉をぎゅっと握りしめて、生徒会室のドアを開けた。
この時間にはきっと誰もいないとそう思っていたのに、月子がいて。
翼くん、と俺の名前をよんで微笑む彼女にぬわっ、と声を上げて驚く。
俺の名前を呼んで微笑んでくれるだけで心の真ん中がほんわりとあったかくなった。
何を持ってるの?と不思議そうに俺の手をみた彼女に、ぎゅっと握りしめていたてのひらをそっと開いてみせた。
飴玉?とそう聞く彼女に、お星さまなのだ!と答えておすそわけ、と月子のてのひらにころんと落とせば、ありがとう、と花が咲いたように笑ってくれる。
月子が笑ってくれるだけで俺の世界はこんなに色づいて、楽しそうにうつるのはどうしてだろう。
そっとてのひらのなかの飴玉に問いかけてみるけど、もちろん答えは返ってこない。
飴玉を口に含めば、いつもよりもひどく甘く感じた。

てのひらに飴玉