翼くん、どうしたの?とそう聞く彼女に俺はなんでもなぁい、といいながら抱き着く。
彼女の肩に顔をうずめると、彼女はぽんぽんと頭を撫でてくれる。
彼女の香りと優しさが俺を包んで、こわばった俺のこころを解きほぐす。
とくに何があったわけではない。
ただ、疲れが、彼女と会えない時間が、蓄積して心がどんどんと硬くなるのだ。
彼女と一緒にいるとそれがどんどんとやわらかくなって、ほどけていく。
彼女に甘えている時間が幸せ。
彼女に甘えられているときは、しっかりしなくちゃ、と思える大切な時間。
ぐりぐりと頭を押し付ければぎゅっと抱きしめてくれる。
それだけでうれしくなって、ぎゅっと抱きしめ返す。
なんでもない時間が、ゆったりと流れる彼女と過ごすこの時間が幸せでたまらない。

なんでもないといいながらひたすらに甘える