「幸せだった」
そういって悲しそうに笑う翼くんに、私は何も言えなかった。
くるりと背を向けて去っていく背中に、声をかけられずにいて、私の頬には熱い雨が流れた。

君を失って気付いたんだ。どれだけ君が俺の心の中が大きかったのか、どれだけ俺の心を占めていたのか。
つらいとは言えない。
悲しいとは言えない。
さよならを告げたのは俺だから。

「幸せだった」/「君を失って気付いた」