「なんですかこの手は!」
 そういって私の手を握るジャーファルさまに、気恥ずかしさが先行して顔が徐々に下がってしまう。こんな冷たい手でよく書けますねぇ、とあたたかい手で包み込んでくださる手が筋張っていて男の人だな、と思う――とどんどん思考がドツボにはまっていく気がした。
 顔が熱を放っているのが、触らなくてもわかる。
「少しはあたたまりました?」
 そういって微笑んでくださるジャーファルさまに、はい、と頷けばよろしい、とまた笑ってくださって。

手の熱

(羽ペンをもった手が、)(熱を思い出してじんわりとあつくなる)