「ジャーファルさまは、お疲れでしょう?」
疑問形で言い放った言葉は、しかし断定として私に掛けられた。どうしてわかるのだろうか、私にはわからないが、いつだって彼女からかけられる言葉に間違いはない。
疲れていると判断した時には私に回す書類を最小限に抑えたり、休憩に誘ってくれたりする。そもそも彼女が働き始めてからというもの、仕事が溜まりきることは少なくなり、文官の負担は極端に小さくなった。
ウェルテが文官の適材適所を理解し、仕事の割り振りをうまくすることで全員の負担が軽くなったことは全員が喜んでいる。お茶を入れようと立ち上がりかければ、お茶なら女官に頼みましたよ、とさらりと言われた。
あなたには敵いませんね、
(そう小さくこぼした私に、)(笑いかけるウェルテがまぶしく映るなんて、)