「ほーら翼さーん、お掃除しますよー!」
「えー」
 今日は久しぶりに二人とも休日で、ラボにこもろうかとも思ったんだけど、比較的普段仕事でもラボにこもっている私たちには普通のことが気分転換になると思い、掃除を提案した。というか、不規則にラボにこもっているせいか、非常に汚い。
 今日はたまってる家事全部やる! そう決めて翼さんに促す。翼さんは家事手伝いの発明品を作ろうとしてくれるけど、結果的には面倒なことが増えるほうが多い。
 現役でつかえているのは食器洗いマシーンのじゃぶんと洗濯物自動取り込みマシーンの取り込みーんだけ。それらは非常に役に立ってくれていて、ありがたいのだけど、もうちょっと成功が多くなるといいなぁ。
 翼さんを急かして、大掃除のごとく掃除を始める。翼さんから目を離すとすぐに発明をしようとするので目を離さないように、同じところを一緒に掃除する。
 一見効率が悪いようだけど、これが一番効率が良い。面倒事がないしね……。
「せっかくちぃといちゃいちゃしようと思ったのに……」
「はーい終わったらにしましょうねー」
 ぶーぶーと口をとがらせながらいう翼さんに、どうせお昼寝して夜にあわてることになるのだからとやることは先にやってしまうことを提案(無理やりともいう)し、圧力をかける。それでも、ほっぺたにキスをして、もっととねだる翼さんに終わったら、といえばご機嫌で掃除を始める。
 ううん、翼さんの扱いにも慣れてきた気がする。あ、夕飯用の食材買わないといけないのもあったような……。それはあとでいいとして、とりあえず……。

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「ふぅ、」
「終わったのだー!!」
 そうして、非常に汚かった部屋は、とてもきれいになって、満足! さああとは食材の買い出しと、っ!
「ほら、終わったから、」
 そういって翼さんがぎゅーっと後ろから抱き着いてくる。まだ買い出しが、といえばえー、やだもういちゃいちゃするーと抱きしめる力を強くする。
 嬉しいけど、これだと夕飯が作れない。そして明日の朝もない……何かあったかなぁ……。
「ぬー……、じゃあ三十分だけ!三十分だけいちゃいちゃしたらお買いもの行こう!」
 三十分かぁ……それならまだ夕飯には間に合うかな、とそう思って三十分だけですよ、と念を押せばうぬ! と翼さんはうれしそうにもう一度ぎゅっと強く抱きしめてくれた。それがうれしくて、肩に顎を乗せている翼さんの顔にほっぺたを摺り寄せて、二人で笑う。
 こんな日常が続いていくことが幸せだと、そう思う。

三十分の休息

(幸せだなぁ、)(あったかい)