「一緒に、お風呂はいろ?」
 そういった俺は、下心がなかったとは言い切れないけど、それでも、純粋な気持ちがおおきくて言ったのだ。喜ぶと思って作った発明品、お風呂長く入れるマシーン長風呂くんはお風呂でしか試せないから。
 ちぃは湯船に長く浸かってられないからいいと思ったんだけど……。甘かった。お風呂場って、つまりは裸なわけで、入浴剤が嫌いなちぃのために入浴剤も入ってないし、なんていうか……いろいろやばい。
 こう、お湯で火照って赤くなった身体とか、額を流れる汗だとか……家だからってタオルを巻きつけて入ってるけど、そのタオルが張り付いている肌だとか、もう全部が俺を刺激する。なるべくちぃのほうを見ないようにして、長風呂くんをみる。
「ちぃ、どう? 長く入れそう?」
「そう……ですね、いつもよりはくらくらしないです」
 どうやら成功のようだ。よかった、とそうつぶやけばはい、って少し笑ったように返事をするちぃ。
 ちぃも恥ずかしいのかな、まあ確実に恥ずかしいんだろうけど。お湯でタオルが緩むらしく、ちぃはタオルから手を離さない。
「いつもよりはくらくらしないですけど、でもやっぱり普通の人くらいまでしか入ってられなさそうです」
 そういってちぃは笑った。今の顔は、ぎゅってしたくなる顔だった。
 そういうわけで、俺はぎゅっとするべく、ちぃを抱き寄せた、のだが。肌の面積が多くて、いつも見たいなじゃれ合いのぎゅっじゃなくなった気が、する。
「つ、翼さん?」
「ぬ? ぎゅってしたくなったから、」
 ちぃはびっくりしたように聞いてきたけど、いつものように答えて、いつものように首筋に顔を埋めようと思って近づけた、けど、濡れてしっとりとした肌は情事を彷彿とさせて、ちょっとためらってから顎をのせた。湯船の中で後ろからぎゅっと抱きしめたちぃはやわらかくて、ううん、お風呂の中はなー、と思っていたのに、だめかもしれない。
 でるまでもつかなー、そんなことをのんきに考えていれば、
「つば、さ、さん……あの……」
「ぬー……」
 ああ、まあ抱きしめてるからわかるか、と思いながら少し恥ずかしくなる。可愛い奥さんとお風呂に入って、抱きしめて、こうならない男はちょっと問題ありじゃない?
 まあまだそんなに固くなってないけど。
「仕方ないぬーん、……いや?」
「嫌とかそういうのじゃなくて……」
 恥ずかしそうに視線をそらすちぃに、嫌じゃないならいいや、と言ってじゃあこっち向いて? という。もういいや、そう思って。
 少し恥ずかしそうになんですか? といいながらこっちを向いたちぃの唇にキスを落とす。びくっとなったけど、すぐに恥ずかしそうに笑うちぃは、学生の頃よりも耐性が着いたようで、恥ずかしがるけどそれでも笑ってくれるようになった。
 恥ずかしがるちぃはかわいいけど、わらってくれるちぃもかわいいので問題はない。かわいいけどひどく色っぽくて、抱き寄せてそのまま啄むように唇をはむ。なんどもしているうちに、ちぃはこちらに腕を回してくれて、肌の触れる面積がふえて、なんだか興奮してくる。ぎゅっと抱き寄せて、口内を暴いていく。
「ん……はっ」
 ちぃの声や、キスの時の水音がお風呂場に反響して、いつもより大きく聞こえ、それがまた俺をあおる。キスの角度を変えてどんどん深くしていくうちに、ちぃの体を隠していたタオルがだんだんとはだけ、もうほとんど身体を隠してはいなかった。
 赤く火照った身体は扇情的で、水の中で触れるといつもとは違った感触で俺を楽しませる。首の後ろや、背中をなぜると声が高くなって、感じてくれているのが分かってうれしい。唇から耳へと移動して、耳をなめる。
「んあっ……」
 そうするとちぃの口元が俺の耳元に来て、ちぃの声がよく聞こえて、ひどく好きだ。耳元と首筋が弱いちぃは、舐めたり、息を吹きかけたりすると声をたくさん出してくれるので楽しくなる、し興奮する。
 前のふくらみにそっと手を伸ばすと腰が少し退いた。
「逃げちゃだーめ、」
「だっ……つば、さ……さん……っ」
 耳元でいうと、なんだかあわてたように言うけど、でも声はもう感じてる声だし、ふくらみの中央も固くなって、このままのほうがつらいと思うんだけどなぁ。明日はお休みだし、遠慮しないよ、そう言って囁いて、固くなった中央をはじけばひゃ、と声が漏れて俺に回した腕がぎゅっとしまる。
 水の中でやわやわともみしだけば、いつもよりもやわらかい?弾力がない?そんな感じで、なんだか新鮮。でもやっぱりいつものほうが好きだなぁ、そんなことを思いながら中心を指でつぶして、こねるとちぃの身体が跳ねる。
 これがかわいいんだよね、水の中ではねると水が揺れて、ひどく新鮮だった。ふかぁいキスを再開して、ふくらみの中心と、背中をなぜると、熱かったちぃの身体の熱さが徐々に増していった。
「ここ、座って」
 そういって、俺がさしたのは浴槽のヘリ。いくら俺の発明品があるからってそんなに長風呂ができると思えない。ふらふらになっているちぃをへりに座らせて、ふくらみに顔をうずめるように抱きしめる。
「今日は甘えん坊な日ですか?」
 そういいながら俺の頭をなぜるちぃは、ひどく色気のある顔をして目を細めた。ああもういつのまにそんな顔するようになったんだろう、そう思いながら目の前の突起に舌を這わせる。
 可愛い声があがって、すこし腕に力がはいるけど、それでも止めないのだからいいのだろう。そのままお尻から腰のあたりに手を伸ばし、なぜる。甘噛みしたり、吸ったり、押しつぶしたり、そんなことを繰り返すうちに声がどんどんと高くなっていって、お風呂場に反響した。

****

 翼さんが、私の中心に指を這わせると、抑えきれない声が上がる。お風呂場でこういうことをするのは初めてで、声が反響して正直とても恥ずかしい。
 でも、こんな非日常にわくわくしている自分もいて、どうしたのかよくわからない。翼さんは、入口や芽をかすめるだけで、やわやわとした触り方を変えなくて、もどかしくなる。上半身は性急に攻めてくるのに、下半身はいつだってゆっくりで。
 痛くないように、って気を使ってくれるのはありがたいけど、でも、ほしくなる時もあるのになぁ、と思って……って何を考えているのだろう、恥ずかしい。
「……ん、ちぃ、何考えてるの、」
 ばれてる、と思ったけど、何でもないです、と言えば眉をひそめて、
「ひゃ……っ」
「他のこと考えちゃだーめ、」
 芽を、ぐり、っとつぶされて思わず甘い声が上がる。胸から徐々に上がってくる舌は、所々に赤い痕を散らして、耳までたどり着くと、
「俺のことだけ考えて、智里」
 そう囁いて耳をねっとりとなめあげる。翼さんは卑怯だ、こういう時にだけ名前で呼んで、有無を言わせないし、それだけで感じてしまう。
 名前を呼ばれるとどきどきとして、きゅんと下半身がうずく。
「つばさ、さ……っんぁ……っ」
 ぬ? といいながら、首筋や、胸元を優しくたどる唇とは裏腹に、翼さんの指はさっきまでのゆったりとした触り方ではなくもっと激しく芽を刺激して、同時にナカへと侵入してくる。首へと回した手はすがるように翼さんの背中をつかむ。
「いっぱい感じてくれたんだ、……もうトロトロ」
いつもの太陽みたいなぽかぽかの笑顔ではなくて、色気のある笑みを浮かべていう翼さんはいつも以上にかっこよくて、それだけでもう……だんだん声が抑えられなくなってきて、翼さんの息遣いとか、声も反響してそれも相まって、とても気持ちいい。
 もうちょっとはいりそう、といってナカへ侵入してくる指が、別々の動きをして私のイイトコロを探すように動く。
「ひぁ……っ」
「ん……っ、ココ?」
 翼さんの指があるところをかすめると、背中を抜けるように快感が走る。そんな私の反応を見てにやりと笑うと(そんな笑い方でまた背筋がぞくぞくとする)、執拗にソコをせめたてる。
「や……っぁ……!!」
「嫌じゃ、ないでしょ?」
「ぁ……も……っ、ぃ……」
 胸の突起を唇で愛撫しながらそういって笑うので、吐息が甘い疼きを誘う。芽と、ナカのイイトコロをせめられて、さらに胸の突起まで同時に、もう、むり……、と思った瞬間、急にすべてが止まって、呼吸が荒いまま翼さんを見る。
 翼さんは指についた私の愛液をぺろりと舐め、ダメだよ、と笑った。
「だって、俺もそろそろ限界。一緒に気持ち良くなろ、」
 そういいながら私を立たせて、後ろ向きにさせる。後ろ向き? 混乱しているうちに、翼さんは厚く膨張した自身を私にこすり付け、
「……ひぁ……っ!」
「っん……はぁ……イっちゃっ、た?」
 貫いた。
 直前で止められた私の身体にはその刺激が強かったようで、それだけで絶頂を迎えてしまった。嬉しそうに聞いてくる翼さんはいじわるだ。そのまま後ろから抱きしめて、耳元でささやく。
「智里、かーわい、」
 それだけでまたゾクゾクと快感が走り抜けて、無意識のうちに翼さんを締め付ける。耳元でっは、と熱い吐息を吐き出す翼さんを感じて、私も吐息が漏れる。
 そう思えば翼さんは体を離して、ぎりぎりまで引き抜いて、勢いよく貫かれる。その後も速度を速めながら、肌と肌がぶつかる音と、粘液が絡まる音、自分の喘ぐ声、翼さんの荒い息が浴室に響く。
 智里、と名前を呼ばれるたびに締め付けて、
「そろそろ……っ、も……イキそ……っ」
 かすれたような切羽詰まった声で、私はぎゅうぎゅうと締め付けて、翼さんが速度を速める。
「智里……っ」
「んぁぁ……っ」
 一際奥まで打ち付けると、熱いものがドクドクと下腹部に広がって、それに合わせて私のナカもきゅうと締め付けを繰り返す。翼さんはそのまま後ろからぎゅっと抱きしめて、だいすき、といってキスをくれる。
 ズル、と翼さんが私のナカからでると、その反動で感じてまた声がでる。
「ふぁ……っ」
「その声、すごくえっちだ……」
 わざわざ耳元でそういって、今度は前から抱きしめる。くたりとした体はうまく力が入らないけど、この倦怠感が心地よい。
 よく眠れそうだな、そう思っていると、
「後ろからもよかったけど、やっぱり智里の顔が見たいからベッドでもうもう一回、しよ」
「え、」
 あっという間に抱き上げられて、お風呂場からあがって、タオルすら持たずに寝室へ。気付けばもう、目の前は天井と、微笑んだ翼さんで、ああもう逃げられない。

長風呂とは言っても…

(智里、今度は顔見せてね)(可愛い声いっぱい聞かせて?)
(え、)(ひゃ…ぁ、…っ)