「あのね……」
 もじもじと頬を染めながら近寄ってくる夕菜に、悪い予感がする。この時点で逃げておけばよかったと後悔するのは、いつだって終わった後だ。
「みてみてじゃーん!」
 自分で効果音までつけて披露したものは、なんと手編みのマフラー。こう、二次元でよくある既製品のようなでき、というわけではもちろんなく、うん、なんとういうかよく形を保ってられるなそれ。
 しかもこう、色合いが……ショッキングピンクに深い緑ってだけで目に痛いのに、蛍光の黄色とか目をつぶしにかかってるのか。
「それ……」
 どうするのか、なんて聞かなくてもわからなくはないし、きっと想像通りなのだろうけれど違うことを祈って聞いてみると。
「もちろんあげるの!」
 極上の笑顔で言ってのける夕菜にめまいがいした。
 お前、わかってないなら言うが、

手編みのマフラーを贈っていいのは二次元の住人だけだから

(あとその色)(誰も喜ばないです)