「ふらっふられっ」
「あーはいはい」
 涙声で電話をしてきた夕菜に、こんなことだろうと思っていた。というか、あのポジティブシンキングすぎる夕菜がここまで打ちひしがれている、ということは告白でもして玉砕したのだろうか。
 鼻水をずびずびならして泣きわめく夕菜に、あきれたため息しか出ない。というよりも、これだけ知っていて引いていかない私がいればいいのではないか。

「いい加減気付けばいいのに」

(次の恋が始まる前に)