「夏だな」
「、だな」

 イカリを下ろすのも待たず、俺たちは互いに顔を見合わせてにっと笑う。
 そして同時に船から飛び出した。

「おいレイシ、エース!」
「お先!」
「夜までには戻ってこいよ!」
「わかってるって!」

 俺たちは声をかけてくれた仲間たちに手を振りながら、我先にと陸地へ走った。



 上陸するのは1週間ぶりくらいだろうか。
 海賊だから海なんてずっと眺めていても飽きないが、それでも時折、母なる大地が恋しくなることはあった。
 俺もエースも、互いには何も言わないが、それは分かっていることだった。

「何する? エース」
「とりあえずメシ」
「だな」

 夏の島だ。少し走っただけで汗が噴き出す。
 俺はぱたぱたとシャツの胸元を仰いだ。エースなんか火の塊みたいなモンだから、もっと暑そうだった。

「何食いたい?」

 エースの明るい笑顔が振り返る。
 少し沈黙した。
 エースが何を食べたいか、今何を望んでいるのか。そんなことを考えてしまう自分が少し嫌いだ。

「……肉、かな」
「よしっ」

 エースが不意に手を伸ばす。反射的にそれを掴まえる。

「行くぞ」

 引っ張られる手から伝わる熱は、エースの体温か、それとも。