俺にくれた、ガーベラの加護。陣地作成やら道具作成やらで大袈裟なものをそこそこ創り出せる俺にマスターが与えてくれた加護。陣地を隠すも良し、身を隠すも良し。きっと俺のことを考えて編んでくれたのであろう花の加護。そんな君を守りたくて、柄にもなく、結構頑張ってるんだけどな、俺。

 いくらマスターのこと好きな俺でも、ハア?って思う案件。アサシンを仲間に引き込む、なんて。手に負えないって言ってんのに言うこときかないし。6人がかりで言っても聞かないし。ほんとに頑固すぎる、分かってたけど。
俺としては、世界どうこうとかそんなことより、君自身を大切にしてほしいんだけどね、マスター。

攻撃力ブッ飛んでる、謎のチートスキル持ち、俺らに良い感情なんてひとつどころかひとかけらも持っていないであろうクラス・アサシン。7クラスの中で一番ステ低いだの最弱だの言われているクラス、のはず、だ。正直絶ッ対近づいちゃいけないであろうそいつを、マスターは仲間に引き込んだ。

 戦力増強ってだけでハイリスクを踏む人じゃない。そう思う。全クラスコンプしたかったとか、そんなことを思う人なわけもない。リスクを伴ってアサシンを加入させた理由は、マスターを見ていてもさっぱり分からないし、マスターからも知らされていないままだ。多少、それで、苛立っている自分がいるのは分かっている。そういうとこだけ隠し上手な俺のマスター、俺の女の子。

「こんな夜更けに何の用ですか、アサシンさん」

 殺意もないけど気配もない。だからこそ不穏なその手を、俺の防壁が弾く。マスターに手を出すな、さもなくば、と。最大級の警告をしたつもりなのに、余裕綽々に笑みを零す、何を考えているのか分からないアサシンを、正直俺はマスターから引き離したいと思うし、他の6人だってそう思っているはずだ。きっとそういう俺らの思いを、マスターが知らないわけがないんだろうけど。分かっていても尚、奴を引き込んだのは何故なのか。

 ……まあ、マスターが傍に置くと決めた以上、俺らに口出しする権利はない。それにマスターも、アサシンの危うさなんて分かっているはずなのだ。

 ――だから、だから。俺は一番傍で彼女を守るのだ。何があっても対処できるように、命に代えても、守れるように。

アサシンの気配の消えたマスターの寝所で、眠っているマスターを眺める。そっと、指先だけで頬に触れると穏やかな体温が指先に沁みて、庇護欲が掻き立てられる。

「……俺が、まもるよ」

 そっと顔を近づけて、額を合わせる。どうか、できれば、何事もなく。きみがわらっていられますように、なんて。サーヴァントらしからぬことを考えて、そっと目を閉じた。