寂しいような




美羽の小さい頃は、無口で他人に心を開かない女の子だった。

唯一話すのは、美羽の家族や俺の家族だった。

特に俺には懐いていたと思う。会えば笑顔で走ってきて飛びついて、なかなか離れない。

玲央の方は歪んだ性格をしていた。
信頼している人間以外には、上辺だけの付き合いで、周りの人たちに良い笑顔を振りまく毎日だった。

特に親が悪いというわけではない。
むしろ美羽達の親がいなければ、二人はもっと孤独になっていただろう。


俺はもっと、美羽や玲央に光を与えてやりたかった。


「修也くん!」

「美羽、久しぶりだな」


足元に抱きついてきた美羽の頭を撫でてやると、幸せそうな顔をした。
玲央は夕香と遊んでいる。
俺たちと過ごしてる時は、笑顔が絶えない。

いつか、俺たち以外にもその笑顔を向けるときがくるのだろうか。










「剣城くーん!!!」

「剣城くん剣城くん!あのね!」

「玲央くん!剣城くんをいじめないで!」

「剣城くん、あの、よかったら、」

「きょ、京介くん…、やっぱりむりいい!!恥ずかしいよ、」


あれから十年後、美羽は昔の面影がないかのように、明るくなった。
玲央もサッカー部のみんなと純粋に仲良くしている。

それまでに、たくさんの人と出会ったが、ここまで美羽を変えたのは、間違いなく剣城だろう。


昔は、修也くん修也くんと、俺の後ばかりついてきた美羽だが、それが今は剣城だと思うと、妙に寂しい気持ちになった。